株取引で借金をする可能性
2017/04/13
テレビや雑誌などで「株で何百万円損した!」なんて話を聞いたことがあると思います。
株で大損した場合、一体どのくらいの被害額になるのでしょうか?
借金をしてしまうことはあるのでしょうか?
このページでは、その手の疑問にお答えします。
株で借金を背負う可能性
投資をしていく中で、ある程度のリスクが発生するのは仕方ないとして、借金だけは絶対にしたくないですよね。
結論から書きますと、現物取引をしているだけなら借金をしてしまう可能性はゼロです。現物取引というのはその名の通り、自己資金だけを使って現物株を取引しています。株の価値がマイナスになってしまうことはないので、借金を背負うことはあり得ません。どんなに損をしても証券会社に預け入れたお金の分だけです。
問題は信用取引です。
この信用取引をすると借金の可能性がでてきます。信用取引とは、現金や株を担保にして証券会社からお金を借りて株式の売買をすることをいいます。株式の信用取引においては、証券会社の委託保証金率が30%ならば30万円の預け入れで、100万円分までの取引ができます。
このように小さな力で大きな力を動かすようなことをレバレッジ効果といいます。上記のような委託保証金率30%ならば、レバレッジ効果は約3.3倍です。レバ3.3倍などと略されることが多いですね。ほとんどの証券会社で最大レバレッジは約3.3倍となります。
このレバレッジを効かせれば、少ない資金で大きな金額の売買ができますので、少額でトレードをしている個人投資家にはレバレッジ取引ができる信用取引がとても魅力的なのです。
しかし、当然のことですが損する時も大きな金額になってしまいます。レバレッジ1.0倍以下でトレードをしているのであれば元手以上の損失を出す可能性はありませんが、それ以上になると元手以上の損失を出してしまう可能性が出てくるわけです。(空売りをした場合は別です。詳細は記事の後半に)
信用取引で買いポジションをとった場合
具体的な例を挙げてみます。
例えば、自己資金が30万円だった場合、100万円分の取引ができます。
ここでは、レバレッジをフルに効かせて、100円の株を10000株で合計100万円分の株を購入したとします。
株数 | 株価 | 評価額 |
10,000株 | 100円 | 1,000,000円 |
↓30%値下がり | ↓ | |
〃 | 70円 | 700,000円 |
30万円の損! |
30%値下がりすると30万円の損になり、元手の資金は底をつきます。それ以上の値下がりになると元手以上のマイナスになり、借金をしてしまうことになるのです。
このようにレバレッジを効かせた取引には大きな危険が潜んでいます。もしも突然会社が倒産をしてしまい、株価が1円になってしまったとしたら、元手の2倍以上の借金を背負うことになってしまうのです。怖いですね。
信用取引で売りポジションを取った場合
信用取引には売り注文から入ることができる『空売り』があります。この空売りをした場合はもっと危険です。
株価には上限がありません。つまり際限なく値上がりしていく可能性があるので、損失も際限なく膨らんでいく可能性があるのです。恐ろしいことです。
前回の同じように、資金30万円でフルレバレッジ状態。
つまり100円で10000株空売りしたとします。
株数 | 株価 | 自己資金 | 損失額 |
10000株 | 100円 | 300,000円 | |
↓30%値上がり | ↓ | ||
〃 | 130円 | 0円 | 30万円 |
↓当初より100%値上がり | ↓ | ||
〃 | 200円 | -700,000円 | 100万円 |
↓当初より900%値上がり | ↓ | ||
〃 | 1000円 | -8,700,000円 | 900万円 |
30万円の資金で売買していたのに、フルレバレッジで空売りをした時に株価が2倍になったら100万円の損失となってしまいます。実際にはこんなひどい損失額になる前に損切りするはずなので、ここまで大きな損になることは考えづらいですが、損切りができない場合もあります。
例えば突然TOB(株式公開買い付け)で全株買取をする発表があったら株価は急騰して、寄り付かなくなります。寄りつかなければ損切りもできないので、その間損失は膨らみ続けてしまうのです。
空売りの恐ろしさがおわかりいただけたでしょうか。空売りをする際には、細心の注意を払う必要があるのです。
適切なリスク回避を
危険なレバレッジを効かせた信用取引ですが、大きな利益を狙えることは魅力的です。どうしてもレバレッジを効かせたい場合は短期売買に限定したり、色々な銘柄に分散投資することによってリスクを抑えていく必要がありますね。
時価総額の小さい企業の株は、値動きが大きくなりやすいのでレバレッジを効かせるべきではありませんし、翌日に持ち越すようなトレードもかなりのリスクを伴います。
どのようなことをすると危険なのかをしっかり理解していれば、恐れることはありません。安定して儲けを出せるようになったら、レバレッジを効かせた取引をしたほうが効率良く稼げますし、使いどころが大事ですね。
まとめ
現物取引で借金をする可能性はゼロ
信用取引は元手以上の損失を出す場合がある